愛ダケじゃ、育たない。

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一人、行く息子へ

 
出来る限り、時間をやり繰り出来た朝は。 
誰にも意図を告げず、続けたい。
 
息子と私がもらう様々な支援の、お裾分け。
公的ではない、名称もいらない。
後回しにされやすく、忘れられやすい。
義務や権利でもなく、声高に叫ぶのでもない。

でも、人が育つ、生きていく、その過程では。
とても重要だと、”人”であるなら知っているはず。

 
新しい学校へ、新しい通学路を通う”環境変化に弱い息子”が心配で、
庭掃除とプランターに植えた草花の手入れを近所への言い訳に、
毎朝、庭先で「行ってらっしゃい」と見送りを始めた頃。
 
幾度も幾度も振り返りながら行く息子が、角を曲がり見えなくなるまでには、
手入れも掃除も終ってしまい、通勤途中の大人も含めるかなりの大勢に、
見送っているつもりでも、道端に竹箒を持って立っているだけに映ってしまう毎朝。
そうした視線も考え、庭にいる間は目の前を通る児童へ、朝の挨拶をすることにした。

学年、性別、実に様々な顔を、毎朝見ながら挨拶を始めると、
遠ざかる息子の後に1人、トボトボ、フラフラ、車道を横切り、道端に座る児童。
学年章を見れば息子と同学年だが、どうにも頼りない歩調に気付く。

連れが居ても、急に歩道の真ん中に座り、アスファルトを見続けたまま。
後から訝しげに、彼を回避し追い越す児童に気付く素振りも見せない。
彼が集中を始めたら、まるでそれが約束事であるかのように、彼の連れは、
彼を同じ歩調に戻そうとはせず、そのまま歩みを進める。
 
かと思えば、急に車道を横切り、塀に張り付いて10分間。
遠くから朧げに聞こえる始業チャイムなど、全く耳に入っていない様子。
時折、横歩きして壁を移動しつつ”何か”を追っているときもある。
 
彼の動きはとてもゆっくりで、頼りなく、実に危なっかしい。
息子が角を曲がった後も、箒や雑草を手にしたまま、いつしか、
彼が角を曲がりきるまで、彼の見送りも始めた。

子ども達は、当初、庭の手入れをしつつ「おはよう」を言う私を不審がり、
眉ヒトツ動かさない儀礼的な挨拶を繰り返していた。
 
けれど毎朝、同じ庭にいて、散歩が日課のお母さんと、エプロンを着けて立ち話する私を、
”誰かのお母さん”と判断した様子で、一ヵ月後には、笑顔と感情ある声の挨拶が、
大人、子どもの区別なく、行き交う相手同士が交わす路になった。   

同じ路、同じ時間で通学する息子に、同学年の彼を知っているか尋ねると。 
「学年時間(同学年で活動 に、大声したり、寝転んだまま泣いて、赤ちゃんみたいや」
「授業の時も教室から出て、先生(支援員 と一緒に、校庭で遊んでた」に続き、
 
「ぼく、思うんやけど、○○君は、病気やねん」
「ほかの人と同じにするの、苦手やと思うわ」
「やから、朝からビックリしたら可哀想やし○○君には小さい声で、おはよう、言うねん」
 
その言葉には、私が考えていた以上の発達と成長があった。
そして、その成長を喜ぶと同時に、
彼を毎朝、送り出している親御さんの胸中を考えながら、朝の庭掃除と挨拶を続けた。  
 
2学期が始まり、親しくなったママ友の一人から、彼のクラスに支援員が配置されている事、
彼は知的に問題はなく、全て普通級で過ごしているが、園時代は母子通園していた事、
懇談会では「よろしくお願いします」を繰り返し、何度も頭を下げていた母親の人柄を聞いた。
 
いつものように「おはよう」が行き交う路で。
おはようの言葉と同時に、つい、手を挙げて、バイバイをした朝。
今まで視線も合わせなかった彼が、私の掌へ、ハイタッチ。
彼に対してバイバイしたわけではない掌は、戸惑う暇もなくタッチされ、
タッチした彼は立ち止まるでなく、「おはよう」と一言、掌に告げた。
  
翌朝、彼は数人の連れと同行。
その集団の先頭が通る過ぎるタイミングで「おはよう」の挨拶とともに
手を挙げると、7~8人が笑顔で挨拶とタッチをした後、彼もタッチし、
嬉しそうに「あのな、昨日ボール買ったねん」と掌を前に口を開く。
「おはよう」も「行って来ます」もすっ飛ばした挨拶だけれど、
昨日、ボールを買って、嬉しかったのは分かったので「そう、良かったね」と言った。
 
それをキッカケに「公園行った」「今、お腹イッパイ」など、一言が毎朝、続く。
ハイタッチの掌を見せなくても、掃除している私に寄って来て、
「首、痛い」と訴える日もあり、見れば水筒を下げた首が赤くなっている日もあった。
直してやると「うん、痛くない」とだけ言って、また通学に戻る。

雨の日は「雨、降ってる」と伝え、通学している列が連ねた傘へ視線を投げ、
「傘、並んで歩いています」と言う。
 
夏休みが終われば「やっと学校が始まってくれたわ」なんて、
建前の愚痴が大部分を占める、けれどその一番大事な部分では。
「事故なく、毎日通ってくれますように」
「楽しい学校生活を送れますように」
「私が与えてやれない多くを、どうか、学べますように」
きっと、そんな風に願っているはず。
 
一人、行く我が子を。
毎朝、皆、どんな想いで送り出しているのだろうか。
照りつける日も、どしゃぶりの日も。
その小さな背中を、思わない日はないだろう。
 
けれど子ども達は、行くのだ。
毎朝、歩いて向かって、行く。
それは、学校へと社会へと続く遠い道。
歩いて向かう事が、生きていく、育っていることだ。
その道程で、とても大切な何かを知っていく。
ただ毎日、子ども達は少しずつ、確実に進む。 
  

誰にみてもらおう、ではなく。
誰に言われたから、でもなく。
並ぶ掌に、並んだ傘に、ただ咲く花々に、大地は平等で慈雨は注ぐ。


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コメント


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ママさん、大変ご無沙汰になりました。

ふと思いついて・・・来て見ました。

もう2、3年も経っている・・・びっくりです。

うちの息子も中学1年、(やっと)今日から新学期で自転車に乗って出かけていきました。

ママさん、お元気ですか? 息子ちゃんももう何年生になったのかしら・・・?!

サクちゃんのママ | URL | 2015年05月18日(Mon)12:29 [EDIT]


さくちゃんのママさん

こちらこそ、大変ご無沙汰しております。
皆様、お変わりありませんでしょうか?

こちらも何とか、頑張ってますよ!
 
息子は5年生になりました。
毎日、様々な刺激をうけて、親子ともに成長しています。
 
自転車で、通学・・・!
素敵ですね。
 
風の中を一人でぐんぐん走っておられるのですね!
 
息子はやはり「ママと離れる」のにまだ少し不安がある様子で、
適当な時間に「帰って来るだろう」のような曖昧な留守番は難しいですね。
 
近くのスーパーにお使いや、指定された行き帰りなどは可能ですが、
臨機応変となると・・・、が課題です。
 
新しいことに挑戦している最中ですし、ボチボチ更新もしていきたいと思っています。
また、よろしくお願いします。


> ママさん、大変ご無沙汰になりました。
>
> ふと思いついて・・・来て見ました。
>
> もう2、3年も経っている・・・びっくりです。
>
> うちの息子も中学1年、(やっと)今日から新学期で自転車に乗って出かけていきました。
>
> ママさん、お元気ですか? 息子ちゃんももう何年生になったのかしら・・・?!

ママ | URL | 2015年08月25日(Tue)10:59 [EDIT]


こんにちは。

久しぶり。

お返事ありがとうございました。
また、1年、学年が上がりましたね。
知らないうちに、どんどんと変わっていきます。

サクちゃんママ | URL | 2016年06月07日(Tue)13:22 [EDIT]


サクちゃんママ

息子はこの春から中学生になりました。

振り返れば短かったですが、思い出せば長かった12年でした。
こうして育ててこれからも私達は行くのでしょうね。

ママ | URL | 2017年08月21日(Mon)10:12 [EDIT]


 

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